計画された偶発性

「人のキャリアは偶然の出来事によってかなり決まる」(Krumboltz,J.D)

 これはスタンフォード大学のジョン・クランボルツ教授のキャリア理論です。変化の激しい時代において、数十年先のキャリアを見据えてキャリアプランを設計し、その計画のとおりに進んでしまうことは、非現実的でありすべきでない、と指摘しています。

 キャリアプランというと、資格取得や昇進・昇格といった目標に向けて、中長期の計画をしっかりたて、計画通りに着実に実行して目標を達成する、というイメージがあります。しかしながら変化の激しい現代では、こうしたアプローチが必ずしも有効とは限らないことがわかってきました。これからは70歳や80歳まで働くことが当たり前になると考えられていますが、新しい技術も次々と登場するなか、20代や30代で身に付けたスキルや知識がその後の50年も通用すると考えるのは、現実的ではありません。自分の立てた計画にこだわってそこに一心に向かってしまうことは、それ以外のチャンスや発見を見逃してしまうことに繋がりかねません。

 平成27年に文部科学省が出した提言によると、「今の子供たちの65%は、大学卒業時に、今は存在していない職業に就く」(文部科学省,2015)と予測しています。これからのキャリアプラン形成においては、予測不可能な未来に目標を定めて計画的に進んでいくというより、予期せぬ偶然の出会いや出来事を積み重ねることでチャンスを見出し、これらを自身のキャリア形成に活かしていくという視点も必要になってくるでしょう。


引用文献

・文部科学省『教職員等の指導体制の在り方に関する懇談会  提言』2015.


ひとLabo

キャリアコンサルタントオフィス

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